大学院生時代のある日の思い出
私が大学院生だった頃に表題のような質問を受けたことが有ります。この質問したのは同じ研究室の後輩です。大学院では先生よりも先輩方から色々な事を学びます。そして自分が先輩になった時には後輩に色々教えなければなりません。私も先輩方から色々学んだし、後輩に色々教えた思い出があります。計算物理関係の研究室だったので、教える内容には当然 Linuxの使い方やプログラムの書き方等もありました。如何に Linux が素晴らしいOSか、それを支えるオープンソースのツールが如何に凄いかを語りました。
ある後輩は私が教えた内容を素早く飲み込み、メキメキと実力をつけ、半年も経たないうちにWindowsを全く使わない完全なLinuxユーザーに仕上がっていました。地頭の良い奴だったと思います。もはや私の方が教えてもらうような感じでした。そんなある日、彼は私に「自宅のPCはどんなディストリビューション使ってるんですか?」と質問してきました。そして私はすかさず答えました。
「え? Windows だけど」
私の回答を聞いてその後輩はものすごく驚いた顔していました。偉そうにLinuxについて語っていた私が、まさか自宅ではWindowsしか使っていなかったとは思わなかったようです。よく考えると、質問中の「ディストリビューション」という単語は、 Linuxの使用を前提としたものでした。
だって仕方ないじゃん
私が大学院生だったのは2000年前後で、今から20年位前のことです。そのような時期のLinuxのデスクトップなんて未だ貧弱で、Windowsの替わりに使ってやろうなんて思わなかったです。だってゲーム出来ないし、DVDビデオ見れないし、Officeソフト無いしね。WEBのブラウジングにしてもフォントが微妙であまり綺麗じゃなかったしね。いや、絶対出来なかったわけではありませんが、インストールとか設定が無茶苦茶大変で、そんな努力する位なら素直にWindows使えば良いですよね。そんなわけで、Linuxはサーバ用途にのみ使うべきものと思い込んでいました。
現在のLinuxのデスクトップ環境
現在のLinuxは素晴らしい進化を遂げています。普段仕事で利用しているUbuntuに関して言えば、自分一人で仕事する分にはWindowsを使わなくても何も問題を感じないレベルのクオリティです。問題があるとすれば、世の中の大多数がMicrosoft Office使っていて、Libre Officeとは微妙にフォーマットが合わないこと位ですが、Microsoft Office Onlineを利用すれば解決しそうです。Linuxの進化の裏では世界中のハッカーが絶え間なく努力を重ねて来たはずです。このようなOSが無料で使えるとは本当にありがたいことです。Linuxなんて使ったこと無いよという方は、是非一度使ってみて頂きたいです。
私の母はLinuxユーザー
私の実家のノートPCにはUbuntuがインストールされています。そして主にそれは母が使用しています。そうです私の母はLinuxユーザーなのです。しかも4〜5年も前からです。Linuxのデスクトップの進化は、とっくに還暦を過ぎた母にも違和感なくPCを使わせることが出来るレベルに達しています。(もっとも母がPCでやることはネットしたり動画見たり位ですが)さらには母のスマホはAndroidで、いつも見ているテレビやレコーダーもLinuxで動いています。もはやLinux無しでは生活もままならない程のヘビーユーザーです。(本人は気づいて無いでしょうけどね)
そして現在の私
WindowsもLinuxのことを無視しているわけではなく、むしろ取り込んでさらに使いやすくしようとしているようです。今年の5月にMicrosoftから「Windows Subsystem for Linux 2 (WSL2)」というものが発表されました。なんでもファイルシステムを中心に大幅にパフォーマンスが向上するとのことです。確かに今のWSLはなんか動きが遅いなぁと感じます。特にemacsの起動がもたつく感じがして気になります。とにかくリリースが待ち遠しいですね。Microsoftのこの動きを見ていると、もしかしたら将来WindowsのカーネルもLinuxになってしまうかもって思ったりします。
この20年でLinuxは大きく進化しました。私もLinuxについて色々学んだと思います。このようなLinuxを取り巻く状況の中で、現在の私が「自宅のPCはどんなディストリビューション使ってるんですか?」と質問されたらこう答えます。
「一応 Ubuntu入れてるけど、やっぱりWindowsを使っちゃうよね☆」
Category: 雑記