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In Silico 創薬

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最新のUSB充電器を買った話

Posted on 2021年9月13日2022年2月22日 by 株式会社インテージヘルスケア 金井 千里

最近のスマートフォンやタブレットは充電口がUSB type-Cになっていて、急速充電に対応するものも多いです。また、ノートPCもUSB type-Cから給電できるものが増えてきて、私が会社から支給されているPCもUSB給電に対応しています。しかしながら自分が持っているUSB充電器は出力が小さいものばかリだったので、ネットで話題になったハイパワーのUSB充電器を買いました。いろいろ思うところがあったのでブログの話題にしてみました。

ちょっとお高いUSB充電器を買った

私が購入したUSB充電器はANKERのNano IIというものです。コンパクトでハイパワー(65W)だとネットで話題だったものをネットで購入しました。値段はUSB充電器にしては少し高いと感じたけど、どうせ買うなら良いものを買うのが私の性格です。次の日には自宅に届いたんだけど、箱を開けたら驚きました。ネット等で小さいとは聞いていたけど実際に実物を目にすると「うゎーちっちゃい」という感じでした。これで本当に65Wも出力できるのか?と思ってしまいます。少し古いノートPCの65WのACアダプタと比較してみました。

上がノートPCのACアダプタ(65W)で下がANKER Nano II 65W


半分以下の大きさです。大きさの割には少し重たいような気がします。おそらく色々な部品をギュッと詰め込んでいるのでしょう。

早速iPad Proを充電してみましたが、心なしか充電が早いと感じました。スマートフォンの充電については明らかに早かったですね。ノートPCへの給電も問題なく出来ました。ただし、ノートPCへの給電のようなパワーが必要な場合は、USB充電器が熱々でした。大きく重いACアダプタを持ち運ぶ代わりに、この小さなUSB充電器をバッグに入れれば良いというのは画期的です。4千円とUSB充電器にしては少し高かったけど、買って非常に良かったと思ってます。

学生時代の思い出

このANKER Nano IIというUSB充電器の小ささの秘訣は、GaN(窒化ガリウム)という青色LEDで有名な化合物半導体で作られたスイッチング素子が利用されていることです。もう二十数年前のことですが、私が大学院生の時は半導体に関連したテーマ(ダイヤモンド表面)について研究していました。ワイドギャップ半導体という括りでGaNについての話も学会とかで聞くこともありました。そこで良く耳にすることは「GaNはシリコンより優れた特性を持っているので、小型で高効率省電力なパワーデバイスが実現できる」ということでした。
そのころは青色LEDも未だちょっと珍しい存在だったので、GaNでパワーデバイスなんて何時になったら実現するんだろうと思ってました。それを今、ネット通販で4千円程度で購入できることにちょっと感動してしまいました。

ワイドギャップ半導体

GaNは半導体としての特性がシリコンよりも優れています。東芝のページに載っていた表を拝借して以下に示します。

項目Si4H-SiC6H-SiC3C-SiCGaNGaAsダイヤモンド
バンドギャップ (eV)1.123.263.022.233.391.435.47
電子移動度 (cm2/Vs)14001000/1200450/100100090085002200
正孔移動度 (cm2/Vs)600120100501504001600
絶縁破壊電界強度 (V/cm)3.0*10^52.8*10^63.0*10^61.5*10^63.3*10^64.0*10^51.0*10^7
熱伝導度 (W/cmK)1.54.94.94.92.00.520
飽和速度 (cm/s)1.0*10^72.2*10^71.9*10^72.7*10^72.7*10^72.0*10^72.7*10^7
誘電率11.89.7/10.29.7/10.29.79.012.85.5

GaNはシリコンよりもバンドギャップが大きこと(シリコンの2倍の2.2eV以上)からワイドギャップ半導体と呼ばれています。バンドギャップとは低分子のいうところのHOMO-LUMOギャップのようなものです。ギャップが大きいとFET(Field Effect Transistor)を作ったときのオン抵抗と呼ばれるものが、シリコンよりも低くなりエネルギー損失が小さくなります。つまり省エネということですね。他にも優れた特性により高速スイッチングも可能となり、デバイスの小型化に寄与します。これらは私が学生の頃に散々聞かされた話ですが、正直、簡単には実用化されないだろうなぁと思っていました。研究者や技術者の努力の積み重ねって凄いなぁと素直にそう思います。

究極の半導体ダイヤモンド

私は学生の頃ダイヤモンドに関連した研究をやってました。そのこともあり、私の考えるパワーデバイスの本命はやはりダイヤモンドです。ダイヤモンドは半導体としてGaNやSiCを遥かに凌ぐ優れた物性(上の表を見てください)を持っています。ただ、ダイヤモンドは高品質大面積のウェハを作ること自体が難しく、その他の加工技術も難しいという半導体のラスボスとも言える存在です。確か私が学生だったころはn型ダイヤモンドを作成することすら難問だったと記憶しています。二十数年経った現在では解決出来ているのでしょうか?もう今の私にはわかりません。学生の頃は自分が生きているうちにダイヤモンド半導体の実用化など出来ないだろうと思いながら研究していました。その頃の自分は、そもそもダイヤモンドを研究テーマにしていることに疑問を感じていました。博士号を取得したら全然関係ないことやって、ダイヤモンドのことなど忘れようとさえしていました。(実際忘れていました)しかしながら、手元のUSB充電器を見ていると学生の頃の記憶が次々と甦ってきて、そう遠くない未来にダイヤモンド半導体が実用化されるような気がしてきました。その未来を確認するまで簡単には死ねなくなりました。


Category: 雑記

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